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相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣
相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣_b0025821_11141716.jpg 相知町は2005年1月に唐津市等と合併して新「唐津市」になった。相知町は市の南部に位置し、伊万里市や多久市に接する。

 棚田百選に選ばれた蕨野の棚田は高い石垣で築かれた広大な棚田として有名で、時々テレビなどでも紹介されている。役場でいろいろ資料をもらってから棚田をめざした。


相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣_b0025821_11144638.jpg
 道の左右に棚田が見え出した頃、駐車場や直売所などが整備された交流広場があった。案内看板などもあり、全体がつかみやすい。
 広場から少し上がると大平棚田が見えてくる。土石流跡のような地形に石垣棚田が積み重なっている。何段あるのだろう。
 この辺りは作付けが少し遅いのか、稲刈りはこれからという様子だった。
相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣_b0025821_11163174.jpg 石垣は自然石を積み上げたものだが、その石の大きさには驚いた。
 これだけの石垣を積み上げるのに、どれだけの時間を費やしたのだろうか。

相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣_b0025821_11174934.jpg 南川原棚田に日本一の高石積みがある。高さが8.5mあるらしい。これだけの石垣を崩さず維持できるのは相当の技術である。

 この石垣に支えられている田面を見て、その広さにもっと驚いた。これだけの傾斜地でこれだけの広い田を確保するためには、こんなに努力が必要だったのだ。
 しかし狭くても2段にしたほうが効率的なような気もするのだがどうだろう。

相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣_b0025821_11241463.jpg


相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣_b0025821_11225323.jpg
 高い石垣の下部には石組みの暗渠があった。結構大量の水が流れ出している。想像だが昔はここに小さな谷川が流れていたのではないだろうか。その谷の上に石の暗渠を作り、上を土で埋めていって田を広げていったものと思われる。

 いずれにしてもものすごい労力と時間が費やされてこれだけの石垣棚田が構築されたのは間違いない。米を作るという産業は、それだけの経済的な意義があったのだ。

相知町蕨野の棚田 (2006年9月15日) 日本一高い石垣_b0025821_19342345.jpg 棚田を満喫した後、街まで帰りおうち温泉「天得の湯」に入った。約42℃とはりっぱな温泉だ。
 ここでも棚田と温泉の共存関係は証明された。
 大昔に造山運動で作られた急峻でしかももろくて崩れやすい地形がある。そこには地底から鉱物が吹き上がり、高温の地下水が噴き出している。雨が振ると水は急な谷を流れ落ち、時には大量の土砂を流した。
 人々は鉱物を求めて山奥に入り、鉱脈を見つけると多くの人を集めて採掘する。この人たちの空腹を満たすためには、大規模な田んぼを作らなければならない。水利があり、しかも鋤や鍬だけで耕せる場所といえば地滑り跡地や土石流の跡しかない。人は危険覚悟で土を止めて田を作ったに違いない。そして産出した鉱物を運び出すために、街道や水運が開かれた。

 こうして鉱山と温泉と街道と棚田は同じ場所に存在している、というのが私の仮説である。経験則でもちろん学術的な根拠はない。

 蕨野の棚田を訪れた日には何の予兆もなく平穏な天気だったのに、翌日の9月16日に台風13号の影響で相知町は大変な水害に襲われた。棚田がどうなったか心配だが、ニュースではそこまでの情報は流してくれない。
 被害が少しでも軽いことを、そして一日も早い復興を祈ります。
by tetuji_t | 2006-10-02 11:26 | 考える事
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